フジタ@コメートG3です。
インタウェアから発売された「Booster PB2400 G3 320MHz」(以下Booster G3)は、IBM製の新型PowerPC750L(コードネーム『LoneStar』)を搭載しています。これは、最近発表されたAppleの新G3デスクトップ(Ice & Blue)にも一部採用されており、銅配線プロセスを使用して高速低消費電力動作を実現しています。
この「高速低消費電力」と言うのは、PowerBookには望まれてやまない特徴です。ワタクシはNewerTech製のG3カードを使用していましたが、これに使用されているチップはまだ消費電力が大きめのもので、性能には大変満足していましたが熱問題とバッテリ駆動時間に関しては悩まされていました。 そして先日、ついにこのBooster G3に落ちてしまいました...。
しかしながらいかに『LoneStar』とて、320MHzで駆動しては「比較的」低消費電力に過ぎませんし、またワタクシの通常使用時には320MHzのCPU性能は不要です。そこで、以前NewerTech製のG3カードで行った「PLL_CFGリモート設定DIPスイッチ」をこちらにも取りつけることにしました(実は製品発表当時から改造することを決めていた)。 かくして、購入後一度も使用することなく、いきなりハンダゴテが当てられてしまったBooster G3の運命や如何に...(当然、保証はこの瞬間消滅)。
■被験PowerBook
今回のReport対象であるPowerBook2400cは、
- 最初期型のPowerBook2400c/180(Comet)
- ハードディスク:IBM製DTCA-23240(3.2GB 12.7mm厚)
- メモリ:ADTEC製の96MBを追加実装し合計112MB
■Booster G3の詳細(ボード外観:DSC00130.JPG,DSC00131.JPG)
今回購入したこのボードに使用されている主要チップは、
- CPU:
- IBM製 PowerPC750L PPC750L-DB0B333
- (動作保証が85度迄で333MHz迄のもの)
- 2次キャッシュSRAM:
- Galvantech製 4Mbit pipeline-burst SRAM GVT71128G36T-3
- (データシート未調査、access timeが3.5nsec-4.0nsecのもの)
CPUは、良く見ると上記型版のプリントの下に、うっすらと「PPC750L-DB0B300」と書かれています。 やられた...これは、元々300MHz保証で生産された物を選別し直して動作マージンのある物を333MHz保証としたものと思われます。 元々プロセッサのスピードバージョンと言うのは、全く同じマスク・生産工場で、全く同じプロセスで生産された物(場合によってはプロセス条件を変えて、スピードが異なる物を作る場合もあるのですが)を単純に(出荷試験等で)振り分けている場合がほとんどなので、気にする必要は無いんですが。 でも直感からいって、これはクロックアップ耐性が低そうです(温度保証の85度までと言う事からも推測できる)。
余談:『LoneStar』IBM製PowerPC750Lの300MHzから400MHz迄の製品のうち、400MHz版のみが最低動作周波数が250MHzで、366MHz版以下は200MHzとなっています。このことから、400MHz版と366MHz版以下のものでは、一部回路定数が異なった別マスク版と言えそうですね(おそらく、PLL等を調整しているのだと思いますが)。
■原理
Booster G3のボードには、NewerTechのNUpowrG3の様にPLL_CFGの設定を行うDIPスイッチが実装されている訳ではないので、単純にそれのリモート化という訳にはまいりません。
ボード上にある、PLL_CFGの設定を行っているチップ抵抗(PLL_CFG[0]-[3]それぞれにpull-up用とpull-down用のランドがあり、設定する部分にはどちらか一方のランドに1KΩが実装されている)をまず全て剥がした上で、そのランドと空中配線を利用して以下の様な回路を構成します。
OVdd(3.3V)
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4.7Kohm
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PLL_CFG-+
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□DIP-switch
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100ohm
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GND
これにより、DIPスイッチがON(接続)の状態ではPLL_CFGはpull-downされて0となり、OFF(切断)の状態ではPLL_CFGはpull-upされて1となります。 DIPスイッチから直接PLL_CFGをGndに落とさないのは、LSIは「Gndより低い電圧の入力」を嫌うための安全装置だと考えてください。 直接PLL_CFGをOVdd(3.3V)につながないのは、当然ながら短絡防止ですね。 ONでpull-down状態のとき、OVdd-Gnd間は抵抗4.8KΩなので、PLL_CFGの0一個に付き約0.7mAの電流が流れることになります。 ちなみにG3カード全体の消費電流は2.5Aなので、ほとんど影響無いですね。
上図のうち、pull-up用の4.7KΩはもともと基盤にあるランドをそのまま用いてチップ抵抗を実装し、pull-down用の100Ωは4個分まとめて集合抵抗を空中配線して装着します。
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配線が完了したボードの外観 |
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アップ |
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DIPスイッチに接続されたケーブル。 ケーブルを持っているのはもちろん・・・。 |
それ以外は、以前のNUpowrG3のDIP改造と全く同じです。 筐体の改造もそのままなので、実に手軽に改造が完了いたしました。
改造前の回路図
改造後の回路図
■感想
やはりDIPスイッチがあると便利です。 Booster G3では、機能拡張内部にて、ボード毎に定められたPLL逓倍率になっていないとバックサイドキャッシュが有効になりません(※)が、このチェックは起動時のみなので、起動後にスリープに入れDIPスイッチを切り換えることにより、その場合場合に応じたCPUクロック周波数を選択することが可能となります。
※PPC750Lの内部レジスタ(SPRレジスタのHID1)を読み出して、PLL_CFG[0:3]の設定を確認し、それとボードID毎のテーブルを比較しています。
ただPPC750L-DB0B333のCPUの最低動作保証周波数はスペック上は200MHzとなっており、それ以下のあまり低い周波数(ワタクシの物では160MHz以下)に設定すると、DIPスイッチ切替後のスリープからの復帰に失敗することがあります。
以下怒涛の消費電力計測編へ・・・。