【Booster PB2400 G3 320MHz Report ---
電源電流測定篇】
フジタ@コメートG3です。
「PLL_CFGリモート設定DIPスイッチ」を増設することにより各種CPUクロック周波数を手軽に切り換えることが出来るようになったため、以前から考えていた「動作条件と消費電力」の関連性についての実験を行ってみることにしました。
良くあるレポートでは、消費電力の調査はバッテリの持続時間のテストを行うことで行っています。 しかし、バッテリは個体により状態がまちまちで、へたったバッテリもあれば元気なバッテリもあり、測定結果の絶対値は当てになりません。 また、動作条件によって消費電力はかなり変動するはずですが、バッテリ消費量でチェックするためには同一動作条件でバッテリを使いきるまで動かし続けるしか無く、条件の数を増やすほど実験にとんでもない時間が掛かってしまうという問題もあります。
そこで、今回はもっと直接的に、電源電流を測定することによって各種条件間の消費電力の差を調査しました。 これですと、「何時間持つのか」は直接にはわかりませんが、「何をするとどれだけ節電できる」が細かく調べられますので、実際の運用条件を決める際の参考にはしやすいと思います。
■被験PowerBook
今回のReport対象であるPowerBook2400cは、
- 最初期型のPowerBook2400c/180(Comet)
- Booster PB2400 G3 320MHzを装着済
- ハードディスク:IBM製DTCA-23240(3.2GB 12.7mm厚)
- メモリ:ADTEC製の96MBを追加実装し合計112MB
また、比較対象として紫山助手のPowerBook2400cにもゲスト参加してもらいました。
こちらの諸元は、
- 中期型のPowerBook2400c/180(Comet)
- NUpowr G3 240/160MHz cahce1MBを装着済
- ハードディスク:IBM製DTCA-24090(4GB 12.7mm厚)
- メモリ:ADTEC製の96MBを追加実装し合計112MB
■測定方法
バッテリを抜いた2400cに、一端が切断され定電圧電源と電流計を経由して接続されているDCケーブル(紫山助手提供)を用いて電源を供給します。
低電圧電源は24Vに設定、電流のリミットは1.5Aに設定します。
この状態で2400cを起動させ、各種動作を行っている際の電流の瞬時値を目視えいや観測および気分による平均化を行って記録していきます。
■動作条件
測定時に変化させた動作条件は以下の通りです。
- CPUクロック周波数(PLL逓倍率)
- →320MHz/240MHz/180MHz
- ※DIPスイッチによりスリープ中に切り換えます。
- バックサイドキャッシュバスレシオ(2次キャッシュ速度)
- →CPUクロック÷1.5/÷2.0/÷2.5/÷3.0
- ※G3Strip(http://www.246.ne.jp/~kykz/)により切り換えます。
- バックサイドキャッシュ容量(2次キャッシュ容量)
- →1024KB/512KB/0KB(disable)
- ※G3Strip(http://www.246.ne.jp/~kykz/)により切り換えます。
- プロセッササイクリング
- →通常OFF/一部測定でON
- ※G3Strip(http://www.246.ne.jp/~kykz/)により切り換えます。
- キャッシュスロットリング
- →0wait/5wait/10wait/20wait
- ※G3Throttle(http://www.246.ne.jp/~kykz/)により切り換えます。
- ハードディスクの回転
- →回転/停止
- ※Fkey(command+shift+9)により停止させます。
- 液晶バックライトの調整(Finderのidle中のみに行いました)
- →最大光量/最小光量/消灯
- ※調整ボタンにより切り換えます。
■動作内容
測定時に行った動作は以下の通りです。
- Speedometer4.02のCPUテスト連続実行
- →Performance
Ratingの「CPU」のみ連続して動作させます。
- ※これはほとんどCPUと1次キャッシュのみしか動作しません。
- 複数のQuickTimeMovieの同時ループ再生
- →MoviePlayerにて、以下のMovieを同時再生(画面モード:16bit)
- 「だんご3兄弟」320x240 29.97fps
MPEG形式 datarate170KB/s
- 「Colors」320x240 24fps
Sorenson形式 datarate52.4KB/s
- 「3 steps」240x180 24fps
Sorenson形式 datarate31.0KB/s
- ※これはCPU、RAM、ハードディスク、グラフィックコントローラ等全てまんべんなく負荷がかかります。 ただしハードディスクは書込みは行わず、2次キャッシュはキャッシュミスばかりで余り使われません。
- RAMometer
v1.3(NewerTechのfreeのツール)のRAMチェック連続実行
- →ハードディスクを停止させておいて、RAMチェックを繰り返し行います。
- ※これはRAMアクセス以外はほとんど動作しません。
- Finderのidle状態
- →ただ放置しておくだけですが、裏では上記アプリケーションが停止状態で残されています。
- NortonDiskDockterの実行
- →紫山助手のマシンの測定時に使いました。
- ※これはCPU/RAMとハードディスクに負荷がかかります。2次キャッシュはキャッシュミスばかりで余り使われません。
■特殊動作
以下の特別な状態について、追加で測定しました。
- スリープ中の電源電流
- →RAM保持その他結構電力を消費しているはずです。
- 電源ONからの起動シーケンス中の電源電流の変動
- →電源OFFで持ち歩いて必要なときに起動するのが良いか、スリープで持ち運ぶのが良いかを判断するために、起動シーケンスでどれだけ電流を消費しているのか様子を見ます。
起動シーケンスは以下のフェーズに分かれます。
- POST(PowerOnSelfTest)実行中
- →バックライト/ハードディスク/2次キャッシュ全てOFFです。
- MacOSのブート開始
- →ハードディスク回転開始
- バックライト点灯、HappyMac表示
- 機能拡張読み込み開始
- →ハードディスクアクセス開始
- 2次キャッシュイネーブル
- →G3用機能拡張を読み込んだ所で2次キャッシュが有効となります。
- Finder起動
- →この辺でハードディスクへの書込みも増え、電流ピークに達します。
- PCカードモデム挿入
- →挿入しただけで、使用しない状態です。
- PCカードモデムでダイアリング
- →PPPの接続を開始させます。
- バッテリ充電中
- →抜いていたバッテリを挿入し、充電マークが出たときに測定します。(トリクル充電モードなので余り電流を喰わないはずですが)
■結果
電流値は、動作中の物に関しては目測による平均化誤差が最大で+-20mA位含まれています。
■結果の比較・考察
この結果はあくまで電源(24V)電流の差ですので、これをLSIやハードディスク等のパーツ毎の消費電流の差として見るためには、一旦電力(W)に変換した上で、そのパーツの駆動電圧で割って算出してくださいね。
(1) 一般的と思われるAC動作状態での消費電流
- AC電源下において、defaultと思われる動作状態(クロック/キャッシュ設定default、プロセッササイクリングON)での電源電流は、
- 待機動作時:(プロセッササイクリング中、ハードディスクは空回り状態)
- [Booster G3 320] 400mA
- [NUpowr G3 240] 430mA
- アプリケーション動作時:
- [Booster G3 320] 600〜620mA
- [NUpowr G3 240] 750〜780mA(予想)
- ピーク動作時:(ハードディスクアクセス最高潮)
- [Booster G3 320] 700mA程度
- [NUpowr G3 240] 800mA程度
(2) バッテリ動作状態での消費電流
- バッテリ電源下において、無難と思われる動作状態(キャッシュOFF、プロセッササイクリングON、バックライト最小光量、キャッシュスロットリング10wait←これは結構遅い)での電源電流は、
- 待機動作時:(プロセッササイクリング中、ハードディスクは停止状態)
- [Booster G3 320] 270mA(予想)
- [NUpowr G3 240] 360mA
- アプリケーション動作時:
- [Booster G3 320] 460mA(予想)
- [NUpowr G3 240] 550mA(予想)
- ピーク動作時:(ハードディスクアクセス最高潮)
- [Booster G3 320] 540mA程度(予想)
- [NUpowr G3 240] 670mA程度(予想)
(3) 各種条件個別による消費電流の差
- CPUクロック周波数による差:(CPUテストの値の差)
- [Booster G3
320] Δ7.1mA/10MHz程度(予想)
- 同一クロック周波数でのCPU種類による差:(CPUテストの値の差)
- [Arthur]−[LoneStar] Δ50mA程度(予想)注:24V換算ですから。
- バックサイドキャッシュ(2次キャッシュ)バス速度による差:
- [Booster G3 320] 差は観測できず(測定方法の問題)
- ※2次キャッシュを駆使するような測定が入っていませんでした。
- バックサイドキャッシュ(2次キャッシュ)容量による差:
- [Booster G3
320] 容量変更による差は観測できず(原理的には正しい)
- バックサイドキャッシュ(2次キャッシュ)ON/OFFによる差:
- [Booster G3
320] Δ50mA程度(未使用でもこれだけ消費する)
- プロセッササイクリングによる差:(Finderでのidoling中の場合)
- [Booster G3 320] Δ200mA(!)
- [NUpowr G3 240] Δ250mA(!)
- キャッシュスロットリングによる差:
- [Booster G3
320] Δ8mA/1wait程度(@0〜10wait)
- Δ3mA/1wait程度(@10〜20wait)
- ※10wait以上は下降率が下がります。
- ハードディスクの回転ON/OFFによる差:(ハードディスク依存です)
- [共通] Δ20mA
- 液晶バックライト輝度による差:(最大光量と最小光量の差です)
- [共通] Δ60mA
- 液晶バックライトOFFによる差:(最小光量とOFFの差です)
- [共通] Δ60mA
- ※最大光量では120mAも消費しているんですね。
(3) 動作内容による消費電流の差
Finderのidle時を基準として消費電流の差を見ると、
- CPUテスト連続実行時:
- [Booster G3 320] Δ10mA程度
- ※Finderはidle状態でも、CPUは動作しています。
- プロセッササイクリングを許可していないと、ほとんど差がでません。
- 複数のQuickTimeMovieの同時ループ再生時:
- [Booster G3 320] Δ60mA程度
- ※大体が、ハードディスク読出しでの消費のようです。
- RAMチェック連続実行時:
- [Booster G3 320] Δ10mA以下
- ※CPUテストとの差はRAMアクセスの割合程度でしょうか?
- NortonDiskDockterの実行
- [NUpowr G3 240] Δ130mA(!)
- ※ハードディスク読出しが最大頻度で行われることでの消費のようです。
(4) 特殊動作時の消費電流
- スリープ中の電源電流:
- [Booster G3 320] 37.5mA
- [NUpowr G3 240] 48.2mA
- ※本来、スリープ時の消費電力はCPU単体ではこんなにないはずです。(Datasheet上はTBD:To
Be Determinedとなっているので規格は不明です)NUpowr G3
240のボードに何かあるのでしょうか?3.3V換算でΔ78mA程もあります。
- 起動シーケンス中の電源電流:
- 長時間、変動はあれどもかなり消費電力の総量は多いです。ことにFinder起動前後では電流値がピーク状態になります。バッテリ動作での起動は極力避けた方が無難です。
- PCカードモデム挿入時:
- PCカードに依存しますが、挿しているだけではほとんど消費しないようです。
- PCカードモデムでダイアリング:
- ダイアリング中は、最大で+80mA程消費しますが、その後はまた低下します。通信中の電流は測定できませんでした。
- バッテリ充電中:
- バッテリがほぼ充電されていたので、+10mA程度しか変動しませんでした。充電をしていない状態では、バッテリを抜いている状態と同じでした。
■感想
2次キャッシュの利用率が高いと思われるアプリケーション(SoftWindowsなど)でテストしなかったので、2次キャッシュの設定毎の差が得られませんでしたが、他の要因はなるほどと思える結果が得られました。
一つ残念なのは、クロック周波数による差があまり大きくなく、キャッシュスロットリングでそれ相当の効果は出すことが出来る、と言うことでした。 DIPの意味無いやん (^^; 。
あと、バックライトの輝度による差は大きいです。 でも屋外で使用しているときほど、周囲が明るいのでバックライトを明るくしたくなりますよね...。 日光下だと、バックライト無しでも文字は読み取れるのですが。
気になるのは、NUpowr G3
240装着時のスリープ中の電流の多さです。 これはぜひ原因を究明したいのですが...。
■終わりに
皆さんも、この結果を踏まえた上で、ベストの設定をみつけてモバイルライフの役に立ててください。
それでは。
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