思ひで

 

第二話 カレー屋の娘(1)

 

楽しいテレクラライフにも陰りが出てきました。当時はQ2全盛期。電話代15万という泣きの金額を請求され、おまけにバイト先でも8万ほどQ2にかけてしまって逃亡。

収入は絶たれ、借金は増える一方。

数十万かけたテレクラ遊びで残ったのは膨大な女の子の直電リストのみ。リストのみ。

リスト・・・。

M谷の頭脳に電光が閃きました。

創世期、人類は物々交換によって流通を行ってたと言うではないか。そう、このリストを交換すれば、新規開拓も夢ではない!しかも、女性用フリーダイヤルにかけて、男にリスト交換を申し出てみればコストもゼロ!

これや!レッツビギンやで!

男の声を聞いた途端叩き切る奴が殆どでしたが、中には積極的に乗ってくる奴もいます。

ガセっぽい話も多かったのですが、そういう奴にはまず枚方のY子ちゃん(彼女のエピソードはまた後日)の番号を教えてやりました。ケケ。

交換によってリストは倍増、ガセを削っても収穫はありました。今回の日記はその中の一人のエピソード。

交換した番号にかけると、全く違う女の子が出ました。そこは寮で、電話回線が一本しかなく、繋がった後に部屋番号をプッシュしないと繋がりません。間違った部屋番号を何度か押すと、廊下にある代表電話が鳴り響く仕掛になってました。

僕と彼女が出会ったのは、その代表電話のおかげでした。

交換でゲットした番号は正しかったものの、部屋番号も名前もデタラメ。偶然代表電話を取ったのが彼女だったのです。

彼女はK大に通う二十歳。

「これも何かの縁だから、一度会ってみよう」とプッシュすると、しばらく悩みながらも、okが。ハスキーな声+「ブスだから会ったら後悔するよ」の言葉に、まるで期待せずに京都を北へ。

約束のローソン前で待っていると、日にやけた美人がこっちに歩いてきます。今思えばリンク集のどこかにあるモーグル娘とかなり似てました。

こんなはずでは!動揺するM谷を後目に、彼女がはにかみながら話しかけてきます。

「ブスでしょ、ほんと、ごめんなさい」

意表をつく展開に水谷は近くの店でお茶だけ飲んで帰りました。ブスだったら車でやるだけやってやろうと計画していたのに、まさかこれほどの美形が。

この信じられない話を友人のN(彼のエピソードは別章「人生を踏み外した野牛」にて)に報告しました。

「うちにそんなかわいい子おったかなあ」

Nも彼女と同じK大です。

「あの交差点のカレー屋でバイトしてるらしいよ」

電話口でNの雄叫びが響きました。

「俺の部(某体育会系ムッキムキ)で声かけても全然あかんかったのに!あいつ校内でも有名やぞ!」

さっきそんなかわいい子いないって言ったじゃないか・・・。

そんなこんなで、僕と彼女の関係は始まりました。人に言えない出会いでも、二人は幸せでした。

あの悪夢の日が来るまでは・・・・。

(続く)


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