第七話 西部警察にほえろ!
大学生活も終盤、M谷と愉快な仲間達も全員就職が決まりました。
就職が決まった大学生は自堕落な生活を送るのみ。交通事故(別エピソードにて)の傷も癒えたM谷は、仲間達とバーベキューに行くことになりました。
野郎ばかりの虚しいバーベキューが終わった後、自然と全員の目が一台の車に集中しました。その車は友人の一人が乗ってきた白いセダン。卒業時に廃車にするつもりのポンコツカーでした。
「西部警察ごっこしたいなあ・・・」
「お、ええなあ!あのポンコツでやろうや!」
「ぽ、ポンコツって人の愛車に何てこというんだ!」
なぜかこのときは臆病なM谷が一番に名乗りを上げました。運転はK。ボンネットの上に大の字になり、両腕でドアの辺りをしっかりと掴みます。Kはゆっくりと河原を走り始めました。
「止まれ!止まるんだ!」
絶叫するM谷。
残るの面々は声を合わせて太陽にほえろ!のテーマソングを熱唱。
チャラチャラチャラチャラチャッチャのリフレインに気分は最高潮!
河原を一周すると次はM谷の運転で、嫌がるSを無理矢理ボンネットに乗せました。
無茶してやろう、と思ったんですがフロントガラスを挟んで顔がすぐそばにあるんです。
Sのせつない顔を見ていると、自然と優しい運転になってしまうのでした。
この点に仲間達も気付いたようで、Kが俺は屋根に掴まる、と言い出しました。そのポンコツカーにはスキーのキャリアがついてたんで、Kはそれに掴まることに。運転はG。せつない顔が見えないことが、人の自制心を吹き飛ばしてしまうとは・・・。
Gは急発進、そして急なターンを次々と決めていきます。Kの体はすで車体から浮いています。
「す、すげえ!まさにスタント魂!」
「このアクション、ポッポ(注:鳩村刑事。館ひろしが好演)も真っ青やで!」
しかし次の瞬間、彼のアクションに感動の雄叫びを上げていた我々が凍り付きました。そう、キャリアが外れたんです!Kはキャリアの端と端を持っていました。彼はキャリアが車体から外れても決してキャリアを離さず、万歳の格好でクルクル回りながら宙を舞います。
そして河原に激突・・・。
M谷には隣にいたSの一言が今でも忘れられません。
「おい、今バウンドしたよ!」
友人が瀕死の重傷を負ったかもしれない場面でこの緊張感の無さ。愉快な仲間達はどうもこの辺りが常人とは違うようです。
しかし心配の甲斐もなく、Kは全くの無傷でした。